石川の名を映画ファンの記憶に深く刻み込んだのは、浅野いにお原作の映画『うみべの女の子』(2021年)や『猿楽町で会いましょう』(2021年)での圧倒的なパフォーマンスだった。青春の無軌道さや、愛と依存の境界線に揺れるヒロインを、一切の嘘を感じさせない質感で演じ切った。
当時の瑞々しくも痛々しい透明感は、年月に磨かれ、より複雑な人間の機微をすくい取る確かな技巧へと昇華している。単なる衝動の演技ではなく、役の背景にある沈黙や言い淀みまで計算し尽くされたアプローチは、日本映画の次代を担う大きな原動力となっている。