「以前なら申請書に何度も住所と名前を書かされ、小一時間は待たされるのが当たり前でした」。市役所を訪れた30代の市民女性はそう笑う。現在、総合窓口に導入されているのは、マイナンバーカードや免許証を読み取らせるだけで必要書類が自動生成される「書かない窓口」だ。来庁者の手出しを最小限に抑え、職員の入力ミスも劇的に減らした。
それだけではない。2026年現在、住民票の写しや印鑑登録証明書の発行はもちろん、子育て関連の手続きや税関連の申請など、約8割の主要手続きがオンラインで24時間完了する。スマートフォンの画面を数回タップするだけで処理が終わるシステムは、共働き世帯や忙しい子育て世代から絶大な支持を集めている。
庁舎の裏側では、AIを活用したデータ処理が黙々と行われている。申請データの自動照合やチェック作業がバックオフィスで完了するため、職員が対面で市民に向き合う時間を以前の2倍以上に増やすことができたという。デジタル化は単なる省力化のためではない。人間にしかできないきめ細やかな対話にリソースを集中させるための、攻めの投資なのだ。