会話を折る行為の影響は、個人の不快感だけにとどまらない。アメリカの組織行動学会が実施した大規模トラッキング調査では、日常的に発言を割り込まれる環境に身を置く社員は、そうでない社員に比べて職場へのエンゲージメントが4割以上低下し、離職意向が約2.5倍に跳ね上がることが分かっている。
特に打撃を受けるのは、多様な視点を持ち寄るイノベーションの場だ。斬新なアイディアほど、最初は支離滅裂だったり説明に時間がかかったりするものだ。それを「話の筋が通っていない」「話が長い」と途中で遮断してしまえば、組織は既存の枠組みを出ない「安全で退屈な意見」しか吸い上げられなくなる。静かな退職(Quiet Quitting)を呼び起こす最大の引き金は、実は日々の会議で繰り返される些細な割込発言なのだ。