カカオトーク(KakaoTalk)は、韓国のIT大手である株式会社カカオ(Kakao Corp)が2010年にサービスを開始した無料メッセージングアプリです。チャットや無料音声・ビデオ通話、スタンプ送信など、基本的な機能群は私たちが日常的に利用しているLINEと酷似しています。しかし、韓国IT大手カカオ企業概要を紐解くと、同社はメッセージアプリを起点に銀行(カカオバンク)、決済(カカオペイ)、タクシー配車(カカオT)、エンターテインメント(SMエンタテインメントを傘下に収めるカカオエンターテインメント)まで手掛ける巨大コングロマリットへと成長しており、その中核インフラがこのカカオトークです。
では、すでにLINEが生活インフラとして定着している日本において、一体なぜカカオトークが使われ続けているのでしょうか。調査を進めると、そこには日本特有のコミュニケーション事情が浮かび上がってきます。
利用者がカカオトークを選ぶ最大の動機は、「リアルな人間関係からの意図的な隔離」です。LINEは現在、家族、職場、学校、地域コミュニティなど、現実の社会生活と分かちがたく結びついています。これに対し、趣味のコミュニティ、オンラインゲームのチーム連絡、推し活(K-POPファン同士の交流)、あるいはフリマアプリでのやり取りなど、「本名や実生活の素性を知られたくない相手」とつながる際、LINEの連絡先を教えることに強い心理的抵抗を感じる層が急増しました。カカオトークとLINEの違いは、機能面以上に「自分の人間関係をどのレイヤーで切り分けるか」というユーザー側の使い分け意識に存在しているのです。