ゴルフギアの歴史を語るうえで、カーステン・ソルハイムの名を外すことはできません。ノルウェー系アメリカ人の航空宇宙・電子工学エンジニアであったソルハイムは、自身のパッティングの悩みを解決するため、1959年、カリフォルニア州レッドウッドシティの自宅ガレージで手作りのパター開発に着手しました。これがPING 1-Aの誕生の瞬間です。
当時のパターは、ブレード型(ブルズアイなど)やL字型が主流であり、芯を外すとヘッドが激しくねじれ、ボールの転がりが大きくブレるのが当たり前でした。ソルハイムは工学者としての知見を駆使し、「慣性モーメントを高めるためには、重量を中心から両端(トウ側とヒール側)に配分すべきだ」という周辺重量配分(トウ・ヒールバランス)の着想を得ました。
完成したプロトタイプでボールをヒットした瞬間、金属が共鳴して澄んだ高い「ピーン(PING!)」という音がガレージ内に響き渡りました。その打音を聞いたソルハイムの妻ルイーズが「PINGという名前はどう?」と提案したことが、今日に至る世界的ブランド名の起源です。1-Aは単なる第1号モデルではなく、ゴルフ界の物理構造とネーミングの歴史を同時に塗り替えた記念碑的存在なのです。