周囲を見渡すと、「あの人はあっという間に髪が伸びる」と感じる相手がいる一方で、「自分は全然伸びない」と悩む人がいます。この髪の伸びる早さ個人差は、単なる気のせいではなく生体メカニズムに明確な根拠があります。
髪が伸びるのが早い理由の核心にあるのが、毛根深部に位置する毛母細胞ヘアサイクルの活動効率です。毛髪は「成長期(2〜6年)」「退行期(約2〜3週間)」「休止期(数ヶ月)」という周期を絶え間なく繰り返しています。頭皮に生えている約10万本の毛髪のうち、通常は約85〜90%が成長期にあります。
成長が早い人の体内では、毛乳頭毛細血管から豊富な酸素とアミノ酸が供給され、毛母細胞が猛烈な勢いで細胞分裂を繰り返しています。この分裂スピードを左右する環境因子は主に以下の3点です。
第一に基礎代謝と血流量です。心拍出量が多く抹消血管の拡張性が高い体質の人は、毛根へ届く物理的な血流量が多く、細胞分裂に必要な資材が常に潤沢です。第二に季節による影響です。毛髪科学の定説として、紫外線刺激や気温上昇に伴い新陳代謝が高まる初夏から夏(6月〜8月)にかけて成長速度は年間ピークに達し、血行が停滞しやすい真冬には緩やかになります。第三に自律神経の安定です。副交感神経が優位な深い睡眠時には成長ホルモンが大量に分泌され、細胞修復と伸長が加速します。