「解体費用がかからない分、リフォームのほうが絶対に安上がりだと信じ込んでいました」。大手リフォーム業者の現場調査に同行した際、築52年の木造平屋を前に施主の男性はそう漏らしました。しかし、実際に壁や床を剥がした瞬間に突きつけられたのは、柱の根元がシロアリと湿気で粉状に崩れ落ちた無残な光景でした。
ネット上の相談掲示板や建築士への取材では、築50年リフォームをやめたほうがいい理由として、以下のような「解体後に発覚する想定外の追加出費」が圧倒的多数を占めています。
- 基礎に鉄筋が入っていない(無筋コンクリート): 昭和40〜50年代前半の住宅基礎は無筋であることが多く、基礎の増打ちや耐圧盤の施工だけで200万〜300万円の追加費用が発生する。
- 耐震壁の絶対的不足と偏り: 南側に大きな掃き出し窓を連続して設けた昭和特有の間取りは、地震のねじれに極めて弱く、補強金物や構造用合板の全面施工を余儀なくされる。
- 床下の湿気による土台腐朽: 防湿シートやベタ基礎が普及していなかった時代の物件は、土からの湿気で大引や土台が腐食しているケースが約6割にのぼる(木造住宅耐震診断データより)。
当初は「内装と水回りを一新して800万円」と見込んでいた計画が、構造補強や土台打ち替えの追加により、最終的に1,800万円近くまで跳ね上がる事例は珍しくありません。この資金計画の破綻こそが、築50年リフォーム後悔の最大の引き金となっています。