柳田氏の活動が広く知れ渡る一方で、インターネット上や一部のSF・物理愛好家の間では、過去に論争が巻き起こった歴史が存在します。その代表例が「設定の解釈が極端すぎるのではないか」「アニメの作画上の誇張表現を真に受けすぎている」という指摘です。
実際、作家の山本弘氏らによって執筆された『こんなにヘンだぞ! 空想科学読本』などの批判的検証本が出版された時期もありました。当時のネット掲示板などでは「柳田理科雄は原作をバカにしているのか?」といった誤解やネガティブな評判が一部で囁かれたことも事実です。
しかし、こうした議論に対する柳田氏の姿勢は一貫して紳士的でした。柳田氏は「自らの計算ミスや前提設定の誤り」を指摘された際には、改訂版や後続の著作の中で率直にミスを認め、再計算を提示するという真摯なアップデートを行っています。
何より重要な盲点は、柳田氏の目的が「アニメや特撮の揚げ足取り」では決してないという点です。彼の真の狙いは「日常や大好きな作品の中に潜む疑問を、物理の方程式を使って自分で解き明かすカタルシス」を子どもたちに体験してもらうことにあります。「ツッコミ」をエンターテインメントのフックにしつつ、最終的には「自然科学の偉大さと奥深さ」に帰着させる構成こそが、同氏の真骨頂なのです。