中指の第1関節の親指側あるいは爪の生え際あたりにペンだこが集中する最大の理由は、指先の力学構造にある。文字を書く際、ペン軸は親指、人差し指、中指の3点で固定されるのが一般的だ。なかでも中指は、ペンを真下から力強く支え上げる「土台」の役目を担っている。ペンを強く握りしめたり、筆圧をかけすぎたりすると、ペン軸の細い接触面に数キログラム規模の局所圧力が集中し続ける。
皮膚はこの強烈な圧力と摩擦から内部の毛細血管や神経、骨を守るため、表皮の最外層にある角質層を急速に増殖させる。これが「胼胝(べんち=タコ)」と呼ばれる生体防御反応の正体だ。ペンだこ痛い原因は、初期の段階では単なる皮膚の硬化だが、進行するにつれて肥厚した角質塊がまるで硬い楔(くさび)のように皮膚内部の知覚神経を圧迫し始める点にある。
「ペンを使わなければ自然に消えるだろう」とタカをくくって放置する人もいるが、ここに大きな誤解がある。ペンだこ放置で治らない真相は、一度極端に分厚くなった角質層は水分保持能力を失って砂漠のように乾き、通常のターンオーバー(皮膚の新陳代謝周期:健常成人で約28日〜40日)では自然剥離しにくくなる点にある。さらに、皮膚の下にある関節周囲の滑液包(衝撃を吸収する袋)にまで慢性的な機械的刺激が及ぶと、無菌性の炎症を起こして安静時にもズキズキとした痛みが走るようになる。放置して改善することは極めて稀であり、正しい介入が必要だ。