冷凍した鶏肉が硬くなる最大の元凶は、肉の内部で成長する「氷の結晶」にある。食品加工業の現場では常識とされているが、肉が凍結するマイナス1度からマイナス5度の温度帯をゆっくり通過すると、水分が巨大な氷の針へと姿を変え、肉の細胞膜を容赦なく突き破ってしまう。解凍時に流れ出る赤みがかった液体、いわゆるドリップの正体は、細胞が壊れて流出した旨味成分と水分そのものだ。
一般社団法人日本冷凍食品協会などの発信でも指摘されている通り、家庭用冷凍庫の冷却能力には限界がある。業務用の急速冷凍機とは異なり、緩慢冷却にならざるを得ない環境で何も処理をせずに肉を凍らせれば、乾燥と酸化、いわゆる「冷凍焼け」が進行するのは避けられない。特に鶏もも肉は皮と身の間に脂質を抱えているため、空気に触れ続けると脂質の酸化が加速し、特有の嫌な臭みまで発生してしまうのだ。