タタキを語る上で、高知県を抜きにすることはできない。昼夜を問わず地元客と観光客の歓声が響く「ひろめ市場」では、立ち上る藁の炎とともに豪快なタタキが次々と皿に盛られていく。分厚く切られた身に粗塩を振り、手のひらで叩いて味を馴染ませ、山盛りのスライスにんにくやミョウガ、青ねぎと共に食す。これぞ土佐が誇る郷土料理の真髄だ。
かつて稀代の美食家・北大路魯山人も、カツオの鮮度と独特の酸味、力強い風味を高く評価していた。日本料理の長い歴史において、カツオは単なる食材ではなく、武士の「勝男」に通じる縁起物としても重宝されてきた。土佐の風土が育んだ豪胆な味わいは、時代や世代を超えて日本人の味覚を惹きつけてやまない。