ファッション史を振り返ると、太もも周りの解釈はブランドの思想そのものを映し出してきた。アメリカンワークウェアの象徴であるリーバイスの「501」は、労働者の過酷な作業に耐えうる耐久性と運動性を確保するため、無骨で直線的なワタリの設計を採用。それが時代を超えてカジュアルウェアの絶対的なスタンダードとなった。
一方で、1980年代に「アンコンストラクテッド・スーツ」でメンズウェアに革命を起こしたジョルジオ・アルマーニは、硬質な芯地を排除し、ゆったりとした太もも周りから優美に落ちる流動的なドレープを提案した。ワークウェア由来の実用性と、モードがもたらしたエレガンス——この二極の対比の中に、現代のボトムスデザインの源流が存在する。