明治18(1885)年頃、盛岡出身の実業家である安田定則によって建てられたのが、この邸宅の始まりである。その後、所有者は幾度となく変わり、存続の危機に瀕した時期もあった。時代の荒波の中で解体や再開発の噂が立ち上るたび、地域の熱い思いが建物を守り抜いてきた。
建物の消失を防ぎ、後世へと継承する決定打となったのが、いわて生活協同組合による買い取りと保全活動だった。地域住民の生活を支える組合が主導となり、保存運動を展開したことで、貴重な文化遺産が今日まで完璧な状態で遺されることとなった。市民の愛と執念が実を結んだ奇跡的なストーリーである。