藤沢の魅力を精力的に発信し続けるタレントのつるの剛士氏をはじめ、この地に暮らす表現者たちが愛してやまないのは、表通りの喧騒から一歩奥へ入った静けさの中にある。映画やコミックで知られる『海街diary』に描かれたような、どこか懐かしく凛とした湘南の日常風景が、江の島の路地裏には今なお息づいている。
観光客が仲見世通りの行列に気を取られている間に、地元の常連客は迷わず細い坂道へと足を向ける。民家の軒先をかすめるような路地の先にある小さな食堂では、年配の店主が毎朝仕入れるアジを丁寧にたたき、素朴な味噌汁とともに供してくれる。派手な看板も派手な演出もないが、一口含めば魚本来の力強い旨味が広がる。これこそが、地元の人々が観光シーズンでも密かに通い続ける本物の味だ。