植物が傷を癒やす力には、科学的な裏付けがある。近代遺伝学の祖であるグレゴール・メンデルがエンドウ豆の実験で解き明かしたように、植物は環境の変化や不測の損傷に対して柔軟に適応する遺伝的メカニズムを秘めている。トマトの茎の内部では、傷を負うと「カルス」と呼ばれる未分化の細胞群が急速に形成され、傷口を塞ごうとする働きが活発化する。
さらに、節の部分には新たな根を伸ばす細胞が潜在的に待機している。これが不定根と呼ばれるもので、折れた茎を土や水に挿しておくだけでわずか数日のうちに新しい根を爆発的に発生させる。この強靭な再生力こそが、栽培者を助ける最大の味方なのだ。