その成果を結実させたのが、今村昌平監督の映画『黒い雨』だ。原爆の悲劇を描いたこの作品で田中好子は主演を務め、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ数々の賞を総なめにした。夫としての支えがあったからこそ、彼女は極限の表現に挑むことができたと言っても過言ではない。
だが、幸せな時間は長く続かなかった。1992年に田中好子の乳がんが発覚。そこから約20年間に及ぶ極秘の闘病生活が始まった。小達は妻の病気を一切外部に漏らさず、女優としてのイメージを守り抜くために奔走した。彼女が最期までカメラの前で輝き続けられたのは、夫の命がけの守護があったからに他ならない。