彼の人生を大きく変えた決定的な瞬間が訪れる。それが、シンガーソングライターの小椋佳が作詞・作曲を手掛けた名曲『夢芝居』との出会いだ。当初、本人はいわゆる伝統的な歌謡曲を歌うことに難色を示していたという。歌劇の男が歌など歌えるか、という職人気質ゆえの葛藤があったからだ。
しかし、周囲の強い説得を受けてリリースされたこの楽曲は、劇的な大ヒットを記録する。切なく美しいメロディと、女形としての哀愁を帯びた佇まいが見事にシンクロし、日本全国の有線放送やラジオを席巻。『夢芝居』は一躍、彼の代名詞となり、大衆演劇の役者から一躍、国民的スターへの扉を開くこととなった。