本大会開幕のわずか数週間前、サッカー日本代表を取り巻く空気は重く沈んでいた。準備段階の壮行試合で連敗を喫し、メディアやファンからの批判は頂点に達していた。しかし、指揮官・岡田武史は静かに、そして大胆に動く。
それまで熟成させてきたパスサッカーの理想を捨て、アンカーを配置する泥臭い堅守速攻のフォーメーションへと舵を切った。阿部勇樹の中盤底への配置、そして本田圭佑の1トップ起用。この土壇場での「リアリズムへの舵切り」こそが、自国開催以外で初となる世界ベスト16進出という偉業を引き寄せた最大のターニングポイントだったのだ。