佐伯広斗というキャラクターは、三浦春馬にとっても大きな転換点だった。BMXライダーとしての疾走感、影のある憂いを帯びた眼差し、そして何よりも遠山桜だけに見せる無防備な笑顔。繊細な役作りで知られる三浦は、単なる「年下の王子様」にとどまらない複雑な内面を丁寧に構築していった。
それを受け止めた篠原涼子の懐の深さも特筆に値する。仕事に没頭するあまり女性らしさを忘れたヒロインが、恋によって少しずつ柔らかさを取り戻していくグラデーション。コミカルな芝居で笑わせた直後、ふとした瞬間に大人の色香と脆さを覗かせる。その変幻自在なリアクションがあったからこそ、広斗の真っ直ぐな熱情が際立った。
互いが互いの表現を引き出し、相乗効果でシーンの熱量を極限まで引き上げる。まさに奇跡的なケミストリーが、ワンカットごとに積み重ねられていた。