風情ある町家が並ぶメインストリートの花見小路通を一歩外れると、目に入るのは「私道内撮影禁止」を告げる高札のような警告板だ。違反者には1万円の過料が科される場合もある。かつて過熱したパパラッチまがいの観光客による芸舞妓へのつきまとい、無断での私有地立ち入り、建具の破損といった深刻なマナー侵害が引き金となった。
京都市観光協会や地元協議会が幾度も啓発キャンペーンを重ねてきたものの、路地裏はテーマパークではなく、旦那衆や住民が日常を営む生活空間である。公道である本通りでの撮影自体は法的に禁止されていないが、レンズを向ける対象と距離感には極めて高度な節度が求められる。景観を消費する側から、街の品格を共に守る側へ。訪れる者の意識改革が厳しく問われている。