アニプレックスが手掛ける一大メガヒット作『ソードアート・オンライン』において、キリト(桐ヶ谷和人)という少年が見せた成長は、松岡自身の役者人生と完全にシンクロしている。仮想世界に閉じ込められた恐怖、仲間を失った絶望、そして愛する者を守るための覚悟。初期の尖った少年声から、シリーズを重ねるごとに深みを増していく低音の響きは圧巻の一言だ。
とりわけ『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』では、まだ「黒の剣士」と呼ばれる前の未熟で泥臭い姿を再演。すでに円熟味を帯びていたキャリアでありながら、初期の脆さや不器用さを完璧に呼び覚まし、古参ファンを驚嘆させた。過去の自分をトレースするのではなく、今の表現力をもって過去の葛藤を再構築する——その恐るべき芝居の深度がそこにある。