「何センチか」というサイズ以上に治療の緊急性を左右するのが、筋腫が発生した解剖学的な位置です。子宮筋腫は発生部位によって主に3つのタイプに分類され、症状の現れ方が劇的に異なります。
第一に、子宮の内腔(内膜直下)に向かって突出する粘膜下筋腫です。このタイプはサイズがわずか1〜2cm程度であっても子宮内膜を強く刺激・変形させるため、レバー状の血塊を伴う過多月経や重度の貧血(ヘモグロビン値の著しい低下)を引き起こします。受精卵の着床を妨げて不妊症や流産の直接原因にもなりやすいため、サイズが小さくても早期の手術が推奨される代表格です。
第二に、子宮の筋肉の壁の中にできる筋層内筋腫です。全子宮筋腫の約7割を占める最も頻度の高いタイプで、筋腫の成長とともに子宮全体が肥大化します。大きくなるにつれて月経痛の悪化や過多月経を招き、5cmを超えると不妊リスクや圧迫症状が顕在化します。
第三に、子宮の外側を覆う腹膜の下にできる漿膜下筋腫です。子宮の外側に向かってコブのように張り出すため、月経時の出血量には影響しにくい特徴があります。そのため7〜8cm以上に肥大化するまで自覚症状が出にくく、健康診断の超音波や触診で突然発見されるケースが目立ちます。茎を持った「有茎性漿膜下筋腫」の場合、コブの根元がねじれる「茎捻転」を起こすと急性腹症として激痛が走り、緊急手術を要することがあります。