国立がん研究センターの「がん診療連携拠点病院等院内がん登録」および全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ)のデータを精査すると、食道がんステージ3における5年実測生存率は約35.0%〜40.5%、他因死の影響を除いた5年相対生存率は約40%〜45%前後を推移しています。
ステージ3という診断は、がんが食道の壁を深く貫き(T3:外膜まで浸潤、またはT4a:胸膜・心膜など周囲臓器への浸潤)、あるいは複数の領域にリンパ節転移(N1〜N3)が広がっている「局所進行がん」の状態を指します。遠隔臓器(肝臓、肺、骨など)への遠隔転移(M1)を伴うステージ4とは明確に区別されており、医学的にはあくまで「切除および局所制御による根治が視野に入るステージ」です。
「余命はどのくらいか」という疑問に対して、臨床現場では中央値(MST: Median Survival Time)として約2年〜3年半という統計値が示されるケースが見られます。しかし、これは過去の治療を受けた膨大な患者群の平均値に過ぎません。後述する新規の薬物療法を完遂し、顕微鏡レベルでがん細胞が完全に消失する「病理学的完全奏効(pCR)」を達成した患者群においては、5年以上の無再発長期生存・完治率が60%を超えるケースも報告されています。「ステージ3=余命わずか」という短絡的な認識は、現在の医療水準においては明確な誤解です。