変色防止策として最も認知度が高い手法は「レモン汁をかける」ことですが、調理現場や家庭でのアンケート調査では「酸っぱくなりすぎる」「子どもがお弁当のバナナを嫌がるようになった」という不満の声が目立ちます。
レモン果汁に含まれるクエン酸(pH2〜3)とビタミンCは、PPO酵素の活性を抑えつつ還元作用を発揮するため、理論上は優れた変色防止剤です。しかし、果肉表面に均一に酸を塗布するのが難しく、果肉繊維へ過度にしみ込むと細胞が崩れてドリップ(離水)が発生するという決定的な弱点があります。
特にスイーツ作りやお弁当のおかずとして用いる場合、レモンの強い酸味がバナナ特有のまろやかな甘味や香りを完全にマスキングしてしまいます。変色防止は「ただ白さを保つ」だけでなく、「口にしたときの美味しさと食感を維持する」ことと両立して初めて成功と言えます。