承認欲求が肥大化してしまう根本的な要因を探ると、幼少期の家庭環境や愛着形成のプロセスに行き着くケースが多く見られます。発達心理学や家族社会学の知見では、親から「テストで100点を取ったときだけ褒められる」「親の理想通りに行動したときだけ愛される」といった条件付きの肯定(条件付きストローク)を受けて育った子どもは、ありのままの自分を受け入れる「自己受容」の感覚が育ちにくくなります。
その結果、大人になっても「何か成果を出さなければ見捨てられる」「特別な人間でなければ価値がない」という強迫観念に苛まれ、他者からの賞賛を集め続けることでしか内面の不安を打ち消せなくなります。
さらに、他者を見下すようなマウンティング行動の裏には、心理学者アドラーが提唱した「優越コンプレックス」が働いています。強烈な劣等感を直視できないため、手っ取り早く他者より優位に立とうと誇張や他者批判に走るわけです。外見上は自信満々に見える人物であっても、内面は極めて傷つきやすく脆い自尊心を抱えているのが実態です。