日本国内における第3次タピオカブームは、2019年前後をピークに急激な盛り上がりを見せた後、急速に沈静化しました。当時は「インスタ映え」を象徴するアイコンとして消費され、駅前の一等地に雨後の筍のように専門店が乱立しましたが、流行の移り変わりとともに多くの店舗が淘汰されていきました。この現象を見て、「タピオカは一過性の流行に過ぎなかった」と捉えている日本の生活者も少なくないはずです。
しかし、台湾現地における台湾タピオカブーム現在の姿は、日本の消費サイクルとは全く異なる力学で動いています。台湾経済部(日本の経済産業省に相当)が発表する統計データによると、台湾全土における飲料スタンド市場の売上高は、2020年代半ばから年間1,000億台湾元(日本円で約4,800億円以上)規模を安定して推移しており、店舗数も全島で2万8,000店を超える高密度を誇っています。現地の人々にとって、タピオカミルクティーをはじめとするドリンクスタンドは、ブームとして消費する対象ではなく、コンビニや水道と同じレベルの「生活インフラ」なのです。
日本の若者文化がタピオカを「自己表現のためのファッションアイテム」として受容したのに対し、台湾では熱帯・亜熱帯特有の気候条件、外食中心の食習慣、そして何より古くから親しまれてきた茶芸の伝統が結びついています。流行が去ったのではなく、余計な熱狂が削ぎ落とされたことで、本場のお茶としてのクオリティ追求と日常消費のバランスがこれまでになく洗練された状態に至っています。