著作が数百冊に及ぶため、「森博嗣の小説を読んでみたいが、どこから手を付ければいいかわからない」と躊躇する読者は少なくありません。森作品の世界は独立しているように見えて、深層で緻密にリンクしています。最大限に楽しむための「正統な読む順番」を整理しました。
結論から言えば、「刊行順に読むこと」が最も美しく、作者の仕掛けた罠と知の構造に最も深く驚愕できる最短ルートです。
ステップ1:金字塔「S&Mシリーズ」(全10作)
まず最初に読むべきは、すべての原点である犀川創平助教授と女子学生・西之園萌絵のコンビが活躍するシリーズです。孤島のリサーチセンターで起きた不可能密室殺人を描く『すべてがFになる』から始まり、最終作『有限と微小のパン』まで全10作が連作となっています。理系的な論理展開と、二人の独特な距離感がクセになります。
ステップ2:洗練された洒脱さ「Vシリーズ」(全10作)
S&Mシリーズ読了後に進むべきは、自称貴族の没落令嬢・瀬在丸紅子や探偵・保呂草潤平らが登場する「Vシリーズ」です。第1作『黒猫の三角』から始まるこのシリーズは、軽妙な会話劇とクラシカルな舞台装置が特徴ですが、シリーズを最後まで読み進めたとき、S&Mシリーズとの「ある衝撃的な繋がり」に直面することになります。
ステップ3:世界の結節点「四季シリーズ」(全4作)
『四季 春』『四季 夏』『四季 秋』『四季 冬』の4部作からなる本シリーズは、人類を超越した孤高の天才・真賀田四季の半生を描いた連作です。S&MシリーズとVシリーズを通過した読者だけが、張り巡らされた壮大な伏線が美しく回収される快感に浸ることができます。
ステップ4:未来と命を問う「Wシリーズ」〜「WWシリーズ」、そして『スカイ・クロラ』
ミステリの枠組みを超え、人工知能と生命の本質に迫る「Wシリーズ」(『彼女は一人で歩くのか?』〜)やその続編「WWシリーズ」、さらには押井守監督によってアニメーション映画化された永遠に生きる子供たちの物語『スカイ・クロラ』シリーズへと進むことで、森博嗣が描こうとした壮大な未来像の全体像が掴めるようになります。