ウクライナ侵攻を巡る中国国内の世論において、日本にとっても最も重大な関心事となるのが「台湾情勢への波及」です。開戦直後、ネット上では「今日ウクライナで起きたことは、明日台湾で起きる」「ロシアが成功すれば、次は我々の番だ」といった過激な統一待望論が散見されました。
ところが戦争の様相が膠着し、西側諸国がかつてない団結を見せてロシア経済に深刻な打撃を与えるにつれ、論調は目に見えてトーンダウンしていきました。多くの中国市民がウクライナの戦況を通じて学んだのは、「侵略戦争を仕掛けた側が払わなければならない破滅的なコスト」でした。
知恵袋的な中国のナレッジ共有サイト「知乎(Zhihu)」では、検閲の目をかいくぐる形で、以下のような現実的なリスクを指摘するスレッドに多数の支持票(いいね)が集まりました。
「もし台湾海峡で同様の事態が起きれば、我々の預金はどうなるのか?」
「中国企業の海外資産は凍結され、輸出産業は壊滅するのではないか?」
「一人っ子政策で育った私たちの世代の息子たちが、前線に送られることを容認できるのか?」
ナショナリズムに酔いしれる一部の愛国者を除けば、中間層の本音は「これ以上の経済悪化や国際的孤立はご免だ」という点に集約されつつあります。ウクライナ戦争の悲惨な現実は、中国国民にとって武力統一のリスクを嫌悪する強力な抑止力としても機能しているのが実情です。