「天皇家と出雲は対立しているのではないか」という俗説を完全に覆した象徴的な出来事が、2014年10月5日に執り行われた、高円宮家の次女・典子女王殿下(現・千家典子さん)と、出雲大社宮司の千家芳樹氏の長男・千家国麿(せんげくにまろ)氏の御婚礼でした。
出雲大社の宮司を代々務める千家家は、天照大御神の第二子である天穂日命(アメノホヒノミコト)を祖とする「出雲国造」の直系です。天穂日命は大国主大神に仕え、その祭祀を永遠に司ることを誓った神とされています。つまり、天皇家(天孫・邇邇芸命の系統)と出雲千家(天穂日命の系統)は、神代の昔に分かれた同胞でありながら、統治者と祭祀者という異なる道を歩んできた家柄です。
皇族の女性が出雲国造家へ嫁ぐというこの慶事は、神話の時代から数千年の時を超えた「天津神系と出雲祭祀系の完全なる融和」として、神社界のみならず歴史学者からも大きな関心を集めました。出雲大社境内で行われた結婚の儀では、両家の深い絆が公に示され、「天皇と出雲の不和」というネット上の短絡的な対立言説に終止符を打つ決定打となったのです。