なぜ生える?庭木の「ひこばえ」放置は枯死の危険!プロが教える正しい剪定術

なぜ生える?庭木の「ひこばえ」放置は枯死の危険!プロが教える正しい剪定術

なぜ生える?庭木の「ひこばえ」放置は枯死の危険!プロが教える正しい剪定術の重要なポイントについて、専門知識を取りまとめてご紹介します。

「なぜ、ある年を境に突然ひこばえが林立するのか」という疑問に対し、樹木医や緑地管理の専門家は口を揃えて「樹勢衰退のシグナル」を指摘します。庭木や果樹の根元から突発的にひこばえが吹き出す主因は、決して樹木が溢れるエネルギーを持て余しているからではありません。むしろ、主幹が正常に機能しなくなり、地上部への水や養分の供給が遮断されたことによるパニック反応なのです。

具体的な引き金となる現場事象には、次のような深刻なトラブルが挙げられます。

第1に、テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)による主幹内部の食害です。幹の内部を食い荒らされ、維管束が物理的に切断されると、樹冠へ水分を吸い上げられなくなります。第2に、土壌の踏み固めや排水不良による「根腐れ」や酸素欠乏です。根に致命的なダメージを負った樹木は、地上部を維持できなくなる前に、新たな根元付近の葉を展開して光合成産物を緊急確保しようと試みます。第3に、強剪定(枝の切りすぎ)による光合成器官の喪失です。過度な枝葉の切除により生命維持の危機に瀕した樹木は、体内に残る全エネルギーを絞り出し、株元から不定芽を爆発的に萌芽させます。

植物生理学的には、根で作られる成長促進ホルモン「サイトカイニン」が上部へ移行できず、株元に滞留することで、眠っていた不定芽の細胞分裂を一気に促す現象として説明されます。つまり、根元に青々としたひこばえが生い茂っている光景は、主幹の頭上が枯死しかけている悲痛な叫びそのものであり、見かけの生命力に惑わされて放置することは、愛木の寿命を急速に縮める重大な判断ミスへと直結します。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。