甘平が誕生した背景には、日本の柑橘交配技術の結晶ともいえるドラマがあります。親となったのは、香り高く大果の「西香(にしのかおり)」と、豊かな風味と強い甘みを持つ「ポンカン」です。
開発陣は「誰もが驚く高糖度で食べやすい柑橘」を目指し、試行錯誤の末にこの2つの品種を交配させました。ポンカン特有のコクのある濃厚な甘みを受け継ぎつつ、外皮を薄く、じょうのう膜(内皮)を極限まで柔らかく改良することに成功しました。
しかし、甘平の栽培は極めて困難を極めます。外皮が非常に薄いため、果実が急激に肥大する夏の終わりから秋にかけて、果皮が耐えきれずに裂けてしまう「裂果(れっか)」が多発します。生産者の間では「栽培難易度が最も高い柑橘のひとつ」と言われており、丹精込めた手作業の水分管理と間引きを経て、基準をクリアした果実だけが市場へと送り出されます。