仮面ライダー龍騎サバイブを語る上で最大のミステリーといえるのが、変身用強化カード「サバイブ -烈火-」が城戸真司の手に渡った経緯です。ライダーバトルを画策した神崎士郎にとって、戦いを止めようと奔走する真司は本来もっとも排除したい異分子のはずでした。なぜ彼に最強のカードが渡る事態となったのか、その背後には神崎士郎の焦燥と、ある男の自己犠牲が交錯していました。
当時、神崎士郎の最大の目的は、20歳の誕生日を迎えると消滅してしまう実妹・神崎優衣に「新しい命」を与えることでした。そのためには一刻も早くライダーバトルを勝ち残った最後の1人を決定し、莫大な生命エネルギーを集める必要がありました。しかし、真司の説得やライダー同士の牽制によってバトルは膠着状態に陥ります。業を煮やした神崎は、戦況を一気に動かす起爆剤として、自らが創り出した3枚のサバイブカードのうち「疾風」を秋山蓮に、そして「烈火」を手塚海之(仮面ライダーライア)に手渡したのです。
士郎の目論見は「強い力を与えれば、己の欲望のために他者を倒すだろう」という冷酷な人間不信に基づいていました。しかし、占術師である手塚海之は真司の「人を守るために戦う」という愚直な信念に未来の希望を見出します。手塚は自らの命を賭して浅倉威(仮面ライダー王蛇)の攻撃から真司を庇って散り際、託すように「烈火」のカードを真司に委ねました。神崎士郎の計算高い思惑を、人間の気高い利他精神が打ち破った瞬間でした。
こうして手塚の遺志を継いだ真司は、第34話「ブレ・バトルの終わり」で「烈火」を手にし、続く第35話「タイガ登場」にてついに仮面ライダー龍騎サバイブの初登場回を迎えます。親友である蓮を止めるため、そして理不尽な死の連鎖を断ち切るために放たれた変身の雄叫び「俺は絶対に死ねない!一つでも命を奪ったら、お前はもう後戻りできなくなる!」は、平成仮面ライダー史に残る屈指の名シーンとして刻まれています。