島倉千代子「人生いろいろ」歌詞の真意|借金16億を越えた歌声の軌跡

島倉千代子「人生いろいろ」歌詞の真意|借金16億を越えた歌声の軌跡

島倉千代子「人生いろいろ」歌詞の真意|借金16億を越えた歌声の軌跡にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

島倉千代子のそれまでの芸歴を振り返ると、デビュー曲『この世の花』をはじめ、『東京だョおっ母さん』『からたち日記』といった数々の代表曲に見られるような、哀愁を帯びた「泣き節」と繊細な裏声が最大のトレードマークでした。しかし、「人生いろいろ」ではその代名詞であった歌唱法を完全に封印しています。

この歌い方の変化を主導したのが作曲の浜口庫之助でした。当時、進行性の咽頭がんを患い自らも命の危機に瀕していた浜口は、レッスン室で島倉に対し「千代ちゃん、哀しい顔をして歌ってはいけない。手拍子を打って、笑顔でスキップするように歌うんだ」と繰り返し身振り手振りで指導しました。悲劇のヒロインとして泣くのではなく、悲哀をカラリと笑い飛ばすポップス調のボーカルアプローチこそが、どん底にいた島倉を救う唯一の処方箋だと見抜いていたのです。

そして、この楽曲を老若男女が口ずさむ社会現象へと押し上げた起爆剤が、当時のお笑い・バラエティ番組におけるモノマネでした。ものまねタレントのコロッケが見せた首を小刻みに傾げながら歌うデフォルメや、バラエティの女王として君臨していた山田邦子による軽妙なパロディは、お茶の間の爆笑を誘いました。

大御所歌手であれば激怒してもおかしくない極端な誇張に対し、島倉千代子が見せた対応は極めて器の大きいものでした。彼女はバラエティ番組へ自ら進んでゲスト出演し、コロッケや山田邦子の横に並んで一緒に首を傾げながら笑顔で歌ってみせたのです。ネット上の当時のファンコミュニティや回顧録でも「あの懐の深さがあったからこそ、若者や子どもたちが親しみを持った」「本物のスターの気品を感じた」と絶賛されており、自らの苦境もパロディもすべて笑顔で包み込む人間力こそが、空前のブームを決定づけました。

山田 真由
著者

山田 真由

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