インターネットや広告上には、「最新の高級トリートメントを同時に行えば、縮毛矯正とカラーの同時施術でも絶対に傷まない」といった甘い誘い文句が散見されます。しかし、毛髪科学の客観的な視点から言えば、これは明らかな誇大表現であり、危険な誤解です。
システムトリートメントやプレックス剤(プレックス系処理剤)の役割は、施術中の毛髪内部の架橋を補強し、ダメージの「進行速度を緩和する」ことに過ぎません。どれほど高価な処理剤を使用しても、アルカリ膨潤と高温アイロン、そして酸化重合という強力な化学負荷そのものを無効化することは不可能です。トリートメントで手触りが一時的に良くなったとしても、内部のケラチン構造は確実にダメージを蓄積しており、1〜2ヶ月後にコーティングが剥がれ落ちた段階で、突如として激しいパサつきや枝毛が表面化します。
また、「縮毛矯正後の色落ち」に関するメカニズムも正しく理解されていません。縮毛矯正を施した髪は、アイロンの熱によってタンパク質が「熱変性」を起こし、生卵がゆで卵になるように硬化しています。この熱変性を起こした髪は、通常毛に比べてカラー染料を取り込みにくく、また一度入った染料がシャンプーのたびに流出しやすいという特性を持ちます。「縮毛矯正のあとにすぐ染めたら、わずか3日で元の明るさに戻ってしまった」という現象は、この熱変性とキューティクルの定着不良が重なった結果生じる必然的な反応です。