中韓両国のビザ問題を語るうえで避けて通れないのが、外交的な摩擦に伴う「ビザ相互停止」の過去です。両国の渡航政策は、単なる出入国管理の枠組みを超え、長年にわたり政治的駆け引きのカードとして使われてきた歴史があります。
記憶に新しいのは、2023年初頭に起きたビザ発給停止の応酬です。当時、韓国政府が中国国内の感染急拡大を受けて中国人に対する短期ビザ発給を一時制限したことに対し、中国側は「差別的措置」と猛反発。対抗措置として韓国人向けの短期ビザおよび経由ビザ(トランジットビザ)の発給を全面的にストップする報復に出ました。
国際慣例である外交上の「相互主義」が強硬に発動された形ですが、その後の外交協議と実務レベルの調整を経て、同年春には双方がビザ発給を段階的に再開。2026年の現在では、両国間の経済交流や人的往来の回復を優先する現実路線へと舵が切られています。緊張と緩和を繰り返しながらも、査証業務は正常化への軌道を歩んでいます。