ロケーションの選定にも、明確な美学が宿る。世界的な現代アートの発信地である金沢21世紀美術館の円形建築と、ひがし茶屋街の木造建築が織りなすコントラスト。この相反する空間の衝突こそが、画面に強烈なテンションを生み出す原動力だ。
金沢市が育んできた歴史的景観は、単なる背景美術にとどまらない。雨に濡れる石畳、雪吊りのシルエット、浅野川のせせらぎ。それらすべてが作品のトーン&マナーを決定づける登場人物として機能している。現代美術のシャープな空間美と土着の歴史情緒が交錯する瞬間、これまでの邦画にはなかった圧倒的な視覚体験が立ち現れる。