アニメキャラクター特有のシャープな毛束と、重力に逆らうフロントの立ち上げには、確固たる手順が存在します。まずは熱処理の基準値です。コスプレウィッグのアイロン温度は120〜140℃を基準として設定するのが最も安全かつ効果的です。耐熱160〜180℃を謳う製品であっても、一般家庭用のヘアアイロンを高熱のまま長時間当て続けると、ファイバーの表面が融解して縮れ(チリチリ毛)や不自然なテカリが発生します。
前髪や頭頂部のダイナミックな立ち上げを作る際は、コームを用いた「逆毛(フカシ)」の構築が土台となります。根元の毛束を少量持ち上げ、裏側から細目のコームを根元に向かって数回小刻みに押し込みます。クッションのような縮れ毛の層を内側に仕込み、ドライヤーの温風を当てた後、「手で持ち上げたまま冷風を当てる、あるいは完全に熱が冷めるまで10秒間キープする」ことで、重力に負けない強固な立ち上がりが完成します。
続いて、二次元特有のエッジが効いた束感の作り方です。ワックスだけで束を作ろうとすると、油分の重みで時間経過とともに毛先が割れて垂れ下がってきます。プロの現場では、少量のハードワックスで束の方向性を整えた後、ウィッグスタイリング専用の強力なハードスプレーを毛束の根元から毛先に向かって吹きかけ、指先でつまみながらドライヤーの弱温風で瞬間硬化させる手法が取られます。毛先をより鋭利に尖らせたい場合は、指先に微量の木工用ボンド(水でごく薄めたもの)を取り、毛先に馴染ませて乾燥させることで、まるでイラストから切り取ったような強固でシャープな切先を維持できます。
もしスタイリングの過程で毛先が不自然に折れ曲がったり、熱によってチリついてしまったりした場合は、慌てて切り落としてはなりません。ウィッグセットの失敗を修正する方法として最も確実なのは、「リセット熱処理」です。アイロンの温度を110〜120℃の低温にセットし、水吹きスプレーで湿らせたファイバーに熱を通しながらゆっくりとストレートに伸ばすか、約80℃のお湯に毛先を数分間浸すことで、ファイバーの縮れを解きほぐして初期状態に戻すことが可能です。