良かれと思って書いた表現が、意図せず相手に不快感を与えたり、常識を疑われたりする失敗例は後を絶ちません。夏の挨拶文 マナーと注意点において、特に見落とされやすい落とし穴を4点解説します。
1. 「お体をご自愛ください」という二重表現の誤用
結びの言葉として頻繁に見かける「お体をご自愛ください」ですが、これは明確な誤用です。「自愛」という言葉そのものに「自分自身の体を大切にする」という意味が含まれているため、「お体を」を付けると「体を体を大切にする」という重複表現(重言)になってしまいます。正しくは「どうぞご自愛ください」あるいは「健康にご留意ください」と記述します。
2. 句読点(、。)の有無に関する儀礼の境界線
古来の日本の儀礼文(賞状、挨拶状、招待状など)では、「相手との良好な関係を区切らない(途切らせない)」という縁起担ぎや、文字を毛筆で流れるように書いていた名残から、句読点を打たないのが正式な作法とされてきました。ハガキや封書で送る伝統的な暑中見舞い・残暑見舞いでは、改行やスペースを効果的に用いて句読点を省くのが洗練された書き方です。ただし、ビジネスメールにおいては可読性を保つことが最優先されるため、通常の句読点を用いても失礼には当たりません。
3. 「目上の相手」に対する見舞い表現の制限
「暑中見舞い申し上げます」という言葉は、本来「見舞う(上位の者が下位の者を気遣う、あるいは同等の立場で案じる)」というニュアンスを含みます。そのため、恩師や取引先の役員など、明らかな目上の相手に対して送る際は、「暑中お伺い申し上げます」「残暑お伺い申し上げます」と謙譲の表現(「伺う」)に差し替えるのが最高位の敬意を示すマナーです。
4. お中元の添え状とお礼状のタイムラグ
お中元を贈る際、品物の中に手紙を同封できない配送サービス(産地直送など)を利用する場合、品物より早く、あるいは当日に届くよう「添え状(送付状)」を別便で郵送するのが正式です。品物が届いた後に「先日贈りました」と送るのは順序が逆であり、受取側に受領の催促のような圧迫感を与えてしまうため注意が必要です。