インターネット上の掲示板や一部の解説記事で散見される最大の誤解が、「退職金は退職後7日以内に支払わなければ労働基準法違反になる」という主張です。
確かに、労働基準法第23条(金品の返還)には、「労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に請求にかかる賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない」と規定されています。
しかし、退職金に関しては過去の重要判例(最高裁判所判例等)および行政通達により、「就業規則等であらかじめ退職金の支払期日が定められている場合は、その期日までに支払えば労働基準法第23条違反にはならない」という厳格な例外解釈が確立されています。つまり、退職金規程に「退職後3ヶ月以内に支払う」と記載されていれば、退職翌日に労働者が即時支払いを求めても、会社側は期日まで支払いを留保する法的な正当性を持ちます。
また、もうひとつの重大な盲点は「退職金の消滅時効は5年」という点です。労働基準法第115条により、通常の未払い賃金の請求権時効(当面の間は3年)とは異なり、退職金の請求権は支払期日の翌日から「5年間」行使しないと法的に消滅します。「そのうち振り込まれるだろう」と放置していると、取り返しのつかない事態に陥る危険があります。