2直線のなす角を完全攻略|公式の使い分けと絶対値の謎を解く

2直線のなす角を完全攻略|公式の使い分けと絶対値の謎を解く

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2直線のなす角を求めるアプローチには、大きく分けて数学IIの三角関数(tanの加法定理)を利用する方法と、数学Bの平面ベクトル(内積)を利用する方法の2系統が存在します。受験生の多くが「どちらでも解けるなら、片方だけ覚えればよいのではないか」と考えがちですが、難関大入試の現場においてその発想は命取りになります。問題の設定条件によって、計算負荷に2倍以上の差が生じるためです。

まず、数学IIのアプローチでは、2直線の傾きを $m_1 = \tan\alpha$、$m_2 = \tan\beta$ と置き、2直線のなす角 $\theta$ を加法定理を用いて導き出します。2直線のなす角の公式として教科書に掲載されている基本形は以下の通りです。

$$\tan\theta = \left|\frac{m_1 - m_2}{1 + m_1 m_2}\right|$$

この解法の最大の強みは、直線の方程式が標準形($y = mx + n$)で与えられている場合に、傾きの値だけを取り出して即座に計算へ突入できる手軽さにあります。一方で致命的な弱点も存在します。それは「$y$ 軸に平行な直線($x = k$)」を扱えない点です。傾きが定義できない無限大(発散)の状態になるため、例外処理として図形的に別個考察を余儀なくされます。

一方、ベクトルを用いた解法では、2直線の方向ベクトル $\vec{d}_1 = (a_1, b_1)$、$\vec{d}_2 = (a_2, b_2)$ を設定し、ベクトルの内積の定義から $\cos\theta$ を求めます。

$$\cos\theta = \frac{|\vec{d}_1 \cdot \vec{d}_2|}{|\vec{d}_1||\vec{d}_2|} = \frac{|a_1 a_2 + b_1 b_2|}{\sqrt{a_1^2 + b_1^2}\sqrt{a_2^2 + b_2^2}}$$

学びTimesなどの数学教育メディアの比較検証でも指摘されている通り、ベクトル解法は直線が $x = k$ であっても $\vec{d} = (0, 1)$ として統一的に処理できる圧倒的な頑健性を持ちます。さらに、直線が一般形 $ax + by + c = 0$ で与えられた場合、係数そのままの法線ベクトル $\vec{n} = (a, b)$ を利用して瞬時に内積計算へ持ち込めるため、式変形のステップを最小限に抑えられます。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。