脳疾患とは、思考、知覚、言語、運動など人体のあらゆる機能を統合制御する脳の組織や血管に何らかの病変が生じ、正常な機能が阻害される病気の総称です。頭蓋骨という強固な密閉空間にある脳は、極めて繊細な神経細胞の集合体であり、心臓から送り出される血液の約15〜20%を常に消費しています。血流が途絶えたり出血によって圧迫されたりすると、神経細胞はわずか数分で不可逆的な破壊に直面します。
一口に脳の病気といっても、その病理機序によって特徴が大きく異なります。まずは全体像を把握するために、代表的な病型をまとめた脳疾患種類一覧を確認しておきましょう。
- 脳血管障害(脳卒中):脳の血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れて脳実質内に出血する「脳出血」、脳動脈瘤の破裂などで表面のくも膜下腔に出血する「くも膜下出血」。
- 脳腫瘍:頭蓋骨の内部に異常細胞が増殖する疾患。良性と悪性(膠芽腫など)に分かれ、周囲の脳組織を圧迫・浸潤して神経脱落症状を引き起こす。
- 神経変性疾患・機能性疾患:アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患、てんかんや三叉神経痛など神経回路の異常興奮に起因するもの。
- 感染症・炎症性疾患:細菌やウイルスが侵入して起きる髄膜炎や脳炎。
この中で最も頻度が高く、救急搬送の現場で日々警戒されているのが脳血管障害です。発症の背景にある脳血管疾患原因の大部分は、長年の高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙習慣の放置によって血管内壁が硬化・狭窄する動脈硬化です。加えて、不整脈の一種である心房細動によって心臓内に生じた血栓が血流に乗って脳血管を閉塞させる「心原性脳塞栓症」も多発しています。本人が「いつもの偏頭痛」「少し寝不足なだけ」と自己判断してベッドで安静にしてしまうことこそが、回復のゴールデンタイムを浪費する最大の要因です。