固定式オービスの位置をカーナビやアプリで把握していても、神出鬼没の有人取り締まりから逃れることはできません。取り締まり現場の双璧である「定置式取締り(ネズミ捕り)」と「白バイによる追尾取締り」には、警察官が長年の経験則から編み出した明確な運用セオリーが存在します。
かつて警視庁交通機動隊で任務にあたっていた元白バイ隊員の手記や警察関係者の証言によると、定置式取締り、いわゆるネズミ捕りが実施される場所には共通する「3大条件」があります。
第1に「見通しが良く、ドライバーが無意識に速度を出しやすい下り坂や直線道路」。第2に「測定係(現認係)が身を隠せる植え込みや死角が存在すること」。そして第3に「違反車両を安全に引き込める側道や空き地、退避スペースが確保できること」です。レーダーや光電管測定器を用いて速度を計測する現認係は、電柱の影やガードレールの切れ目に潜み、速度が上がった瞬間にサインを送ります。測定ポイントを通過した時点で勝負は決しており、その先で待ち構える停止係に赤い旗を振られた段階では弁解の余地は残されていません。
一方、白バイによるスピード違反の取り締まりは、ドライバーの死角を突く高度な運転技術に支えられています。元隊員は自著の中で、白バイ特有の捕捉テクニックを次のように明かしています。
「ターゲットを見つけると、相手のルームミラーやサイドミラーの死角となる斜め後方に瞬時に潜り込む。ドライバーがスピードメーターから視線を外し、前方に集中したタイミングを見計らって一定の距離を保ち、等速走行で約100メートルから200メートル追尾してストップウォッチ型の測定器をロックする。サイレンを鳴らした瞬間には、すでに法的証拠となる計測値の固定は完了している」
SNS上では「白バイに後ろにつかれた瞬間にブレーキを踏んだら助かった」という声も見られますが、これは計測完了前に減速が間に合った極めて稀なケースに過ぎません。プロの白バイ隊員は、ドライバーが気付いた時にはすでに測定を終えている状態を作り出してから赤色灯とサイレンを作動させているのが冷徹な現実です。