日常会話では一般的に「T字路」と呼ばれますが、法律上の正式名称は「丁字路(ていじろ)」です。多くのドライバーが陥る最大の罠が、T字路直進優先の真相にあります。日本の法律において、「直進している車が無条件で最優先される」という特権条項はどこにも記されていません。
交差点における通行ルールを定めた根幹は道路交通法第36条の規定です。この条文が定める優先順位の序列は極めて明確であり、直進か突き当たりかという道路の幾何学的形状よりも、以下の基準が厳格に優先されます。
警察庁交通ルール公式解説および法令に照らすと、交差点の優先序列は次の通り定められています。
1. 交通整理が行われている交差点(信号機)の指示
2. 一時停止標識(指定場所における一時停止:第43条)がない側の道路
3. 優先道路(標識がある道路、または中央線・車両通行帯が交差点内を貫通している道路)
4. 明らかに幅員が広い道路(広路)
5. 道幅が同等で標識もない場合は「左方から進行してくる車両」(左方優先)
つまり、直進車が走行している直線道路であっても、「一時停止の標識が直進側にある」「交差する突き当たり道路の方が道幅が広い」といった状況であれば、直進車側が法律上の「劣後(譲る側)」に回ります。「直線道路=優先」という認識は、道路環境を無視したドライバー側の主観的思い込みに過ぎません。