現場のペストコントロール技術者や、SNSコミュニティに寄せられた実際の使用感を集約すると、ネット上に溢れる「ハッカ油をひと吹きすれば二度と虫が出ない」といった過激な言説の欺瞞が浮かび上がってきます。
都内のマンションで実際にハッカ油防虫を試した30代女性は、知恵袋の投稿で次のように振り返っています。「ドラッグストアで買ったハッカ油でスプレーを作り、網戸とベランダ全域に噴射しました。撒いた直後は確かにミントの香りが立ち込めて虫が一匹も寄り付きませんでしたが、猛暑日だったこともあり、散布からわずか1時間半後には香りが消え、夕方には網戸にユスリカがびっしりと止まっていました。結局、毎日何度も吹き直さなければならず、手間が現実的ではありませんでした」。
また、害虫駆除歴20年を超える現役の現場責任者は、専門メディアの取材に対して次のように警鐘を鳴らしています。「精油による忌避は、あくまで『今そこにいる虫を追い払う』か『一時的に近寄らせない』だけの空間マスキングに過ぎません。侵入経路となる1ミリ以下のサッシの隙間、換気扇のダンパーの建付け不良、排水トラップの封水切れといった物理的欠陥を放置したままアロマを撒いても、空腹のゴキブリは香りの切れ間を縫って侵入してきます。アロマは防虫の主役ではなく、物理的遮断を補佐する仕上げのスパイスと位置づけるのが現場の常識です」。