自己処理を繰り返す人にとって最大の敵が「埋没毛(まいせつもう)」である。毛を剃ったり抜いたりした刺激で角質が分厚くなり、毛穴の出口が塞がれてしまうと、成長した毛が皮膚の下で渦を巻くように伸びてしまう。これを無理に針や爪でほじくり出すと、高確率で細菌感染を起こして化膿し、生涯消えないシミやクレーター状の瘢痕を残すことになる。
埋没毛の対策と予防を徹底しつつ、肌を傷めないムダ毛処理の正しい方法を実践するには、皮膚科学に基づいた以下の手順を厳守することが求められる。
第一に、処理前のウォーミングアップである。乾いた肌にそのまま刃を当てるのは言語道断だ。入浴時や蒸しタオルを用いて毛と角質を十分に温めると、毛の主成分であるケラチンタンパク質が軟化し、切断時の抵抗が約40%減少する。カミソリを使用する場合は、摩擦を最小限に抑えるシェービングジェルやフォームをたっぷりと塗布することが不可欠だ。
第二に、刃を動かす方向は「順剃り」を原則とすること。毛の流れに逆らって刃を滑らせる逆剃りは、深剃りができる反面、毛を無理に引っ張り上げて毛包を傷つけ、毛先が皮膚表面より深い位置でカットされるため埋没毛を誘発しやすい。まずは毛の流れに沿って上から下へと優しく滑らせ、どうしても剃り残しが気になる箇所のみ、皮膚を軽く引っ張りながら最小限のストロークで剃ることが鉄則である。
第三に、処理直後の「鎮静」と「徹底保湿」である。シェービング直後の肌は、バリア機能が一時的に低下して無防備な状態にある。冷水や冷やしたタオルで毛穴周囲を軽くクーリングして赤みを抑えた後、アルコールやメントールなどの刺激成分を含まないセラミドやヒアルロン酸配合の低刺激化粧水・乳液を速やかに塗布する。週に1〜2回、定期的に穏やかなピーリングや保湿系スクラブを取り入れて古い角質を除去しておくことも、埋没毛の確実な予防につながる。