「ワンパンマンの改変がひどい」という議論がネット上で頂点に達したのは、間違いなく怪人協会編のクライマックスであるガロウとサイタマの決戦でした。原作信奉者とリメイク版読者の間で勃発したこの論争は、今なおコミュニティ内で激しく語り継がれています。
原作ONE版におけるガロウ戦の結末は、非常にドライかつ哲学的でした。怪人になりきれず、自身の偽善や妥協をサイタマの絶対的な力の前に暴かれたガロウに対し、サイタマは「お前、本当はヒーローになりたかったんだろ?」「妥協して怪人ごっこやってただけじゃん」と核心を突く説教を浴びせます。そこには世界を揺るがす光線技もタイムリープもなく、ただ圧倒的な強者による「青年の甘えへの論破と救済」が存在し、その静かなカタルシスが絶賛されました。
対する村田版リメイクでは、物語が予想外の方向へと舵を切りました。「神」の力を得たコズミックガロウが登場し、木星の衛星を吹き飛ばすほどの超次元バトルへ発展。さらにサイタマの弟子であるジェノスのコアが抉り取られて死亡するというショッキングな描写が挟まれ、最終的にはサイタマが時間の不可逆性を無視して過去へタイムリープし、ジェノス死亡の事実そのものをなかったことにするという結末を迎えました。
この改変に対し、ネット掲示板やSNSでは「サイタマが感情的になりすぎている」「死者をタイムリープで蘇らせたら緊張感が崩壊する」「原作の持つ乾いたニヒリズムが、ありきたりなインフレバトルに成り下がってひどい」といった厳しい批判が噴出しました。さらに、村田版ではWeb連載時に一度公開された話を後から大幅に描き直す「ロールバック現象」が度々発生し、「追っていた展開が別の世界線に書き換えられてついていけない」という読者の疲弊を招いたことも批判を加速させた一因です。