ニュースや日常会話で混同されがちな「暴力団」「ヤクザ」「半グレ」「反社会的勢力」という言葉ですが、法的な位置づけや組織の性質には明確な境界線が存在します。
法律上の根拠となるのが、1992年に施行された暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法・暴対法)です。同法第2条第2号において、暴力団は「その団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」と厳格に定義されています。つまり、国家や治安機関が法的に取り締まりの対象として指定した組織を指す公的な用語です。
これに対し、「ヤクザ」は江戸時代から続く博徒(ばくと)や的屋(てきや)などを起源とする歴史的・民俗的な呼称であり、構成員が美称や自称として用いることも多い俗称にすぎません。法的な定義語ではなく、文化的な背景を含んだ言葉といえます。
近年急速に台頭した「半グレ」との違いは、組織構造の固定性にあります。暴力団が盃(さかずき)事による擬制の血縁関係(親分子分・兄弟分)を結び、明確なピラミッド型組織と固定の組事務所を持つのに対し、半グレはリーダー格を中心とした友人関係や損得勘定で緩やかにつながる流動的な集団です。暴対法の規制逃れを狙って組織化されたグループも多く、警察庁は現在これらを「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」として暴力団と同等以上の警戒対象に位置づけています。
さらに包括的な概念が「反社会的勢力(反社)」です。2007年の政府指針に基づき、暴力団やその構成員だけでなく、総会屋、暴力団関係企業(フロント企業)、特殊詐欺グループ、さらには暴力団と密接な関係を持つ個人や企業まで、社会の平穏や経済活動を脅かす集団・個人全般を幅広く包摂する枠組みとして用いられています。