「花の宿 松や」が多くのリピーターに惜しまれている理由は、その卓越したおもてなしとお料理、そして贅沢な湯浴み環境にありました。当時の宿泊記ブログや口コミサイトに記録された膨大な記録から、同館が誇っていた真の価値を振り返ります。
宿の最大の売りは、鬼怒川の雄大な渓流を眼下に見下ろす「露天風呂付き客室」でした。客室専用の湯船に身を浸しながら、新緑や紅葉、雪景色といった四季折々の渓谷美をプライベートな空間で堪能できる仕様は、記念日や夫婦旅行の宿泊先として極めて高い評価を獲得していました。
また、食事に関する評価も群を抜いていました。栃木県産の前日光牛やとちぎ和牛をメインに据え、日光名物の湯波(ゆば)や旬の山菜を巧みに取り入れた月替わりの本格会席料理は、「目でも舌でも楽しめる」と絶賛されていました。全館に生けられた野の花や、夢二の絵画が配された美術館のような館内空間と相まって、滞在そのものが非日常の文化体験となっていたのです。