この危機的状況において、当時の宙組トップスターであった芹香斗亜を中心とする組体制や、親会社である阪急阪神ホールディングスの角和夫会長ら経営陣の対応には厳しい視線が注がれた。伝統的な「芸の伝承」や「上下関係の規律」が、いつしかハラスメントの温床へと変貌していた現実を、トップスターや幹部らがどこまで認識し阻止しようとしていたのかが問われたのである。
角和夫会長をはじめとする経営トップは、最終的に遺族へ直接面会して謝罪し、経営責任を認める形となった。一方、組を率いるトップスターの芹香斗亜もまた、劇団の構造的な問題と自身の役割の間で重い課題を突きつけられた。個人の資質や指導の枠組みを超えた「宝塚」という巨大なシステムの不全が、現場のトップから経営の頂点に至るまで一連の社会的責任となって跳ね返ってきた瞬間だった。