右翼街宣車がスピーカーから大音量で流す楽曲といえば、『軍艦行進曲(軍艦マーチ)』や『同期の桜』といった旧日本軍の軍歌や愛国歌謡が定番です。彼らがこれらを選曲する最大の理由は、自らの愛国的なスタンスを誇示することに加え、周囲の音空間を完全に制圧して強烈な心理的圧迫を与えるために他なりません。
軍歌特有の規則正しいリズムと金管楽器の甲高い音色は、人の耳に届きやすく遠くまで響き渡る周波数特性を持っています。街頭でこれを最大音量で流すことにより、一般市民の会話を遮断し、標的となった企業や公的機関の執務室内まで音を侵入させることが可能になります。
街宣活動を展開する行動右翼の政治結社にとって、街宣車は「走る要塞」であり「動くプロパガンダ装置」です。強烈な音圧と攻撃的なビジュアルによって相手に「面倒な存在に関わってしまった」と思わせ、交渉を有利に進めたり要求を呑ませたりするための心理戦ツールとして軍歌が利用されてきた歴史があります。